要点
BGMへのContent IDの申し立ては、動画を消すわけではなく、収益の行き先を変えます。申し立てを一度も受けない方法は、誰のカタログにも載っていない音楽、つまり自分で生成した曲を使うことです。YouTubeはAI音楽を認め、それを使うチャンネルも収益化しています。効いてくるルールは、AI開示のスイッチ(BGMではなくリアルな合成コンテンツ向け)と、本物でないコンテンツの方針(オリジナルのBGM付きのVlogではなく、大量生産された繰り返しの投稿向け)です。作成ページでインストゥルメンタルのスイッチを入れて曲を作り、動画の長さまで延長し、Standardプラン以上でライセンス証明書を保管すれば、そのチャンネルの申し立ての問題はなくなります。
このガイドの内容
- BGMが申し立てを受ける理由
- 2026年のYouTubeのAIルール
- 申し立てゼロに本当に必要なこと
- どの動画にどんな曲か
- 作り方
- YouTubeのフォーマット別プロンプトレシピ8つ
- 声の下にミックスする
- 収益化チャンネルのライセンス
- よくある質問
BGMが申し立てを受ける理由
Content IDは指紋のデータベースです。権利者が録音を登録し、すべてのアップロードがそれと照合され、一致すれば申し立てが生まれ、その後どうするかは申し立てた側が決めます。たいていは広告が流れて収益が向こうに行き、国によっては動画がブロックされることもあります。自動で、警告ではなく、仕事ぶりは非常に優秀です。カタログをContent IDにも登録しているライブラリの「ロイヤリティフリー」の曲は、ヒットチャートの曲と同じくらい確実にあなたの動画で申し立てられます。
これがストック音楽の落とし穴です。「ロイヤリティフリー」が表しているのはライセンスであって、指紋ではありません。ライセンス済みの曲の多くがContent IDに入っていて、ライセンスのPDFを片手に申し立てへの異議申し立てで午後がつぶれることになります。抜け道は2つで、無料だけれど100万のほかのチャンネルが使っているYouTubeのオーディオライブラリか、誰も登録したことのない音楽、つまりあなたが作るまで存在しなかった音楽です。
2026年のYouTubeのAIルール
掲示板の噂ではなく、YouTubeの現行のポリシーで確認した内容です。
- AI音楽は認められ、収益化できる。 AIツールを使うチャンネルも、ほかのポリシーを満たせばパートナープログラムの対象のままです。YouTubeはAIで生成した音声を審査上高リスクのコンテンツとして扱いますが、これは断るという意味ではなく、よく見るという意味です。
- 開示のスイッチはリアルな合成コンテンツのためのもの。 YouTube Studioの「改変または合成されたコンテンツ」の設定は、視聴者が本物と誤解しうるもの、たとえば生成した人物、実在の人が言っていないことを言う声、リアルな出来事のためのものです。架空の声とあなた自身の創作的な方向づけによるオリジナルのAI音楽には、ラベルは不要です。実在の歌手をクローンするなら必要で、そのクローン自体がより大きな問題です。
- AIチャンネルを終わらせるのは「本物でないコンテンツ」。 2025年7月、YouTubeは「繰り返しの多いコンテンツ」のルールを本物でないコンテンツに改称しました。大量生産された、テンプレート的で手間の少ない投稿は収益化できません。静止画に似たようなAIの曲を100本並べたチャンネルがその標的で、オリジナルのBGM付きのVlog、チュートリアル、解説動画は違います。
- Content IDは今や波形の一致だけでなくパターン認識も使う。 著作権のある曲を再現するツールで生成した曲は、申し立てを受けることがあります。はっきりした書面の商用権をくれる生成ツールを使い、レコードをコピーするのではなく音を描写しましょう。
AIを活用するチャンネルが稼げるかを決めるのは、重なり合う5つのポリシー、すなわち本物でないコンテンツ、再利用されたコンテンツ、AIの開示、広告主向けのガイドライン、そしてContent IDです。自分の動画の下に敷く音楽のためにAIを使うクリエイターが考えるべきなのは最後の2つだけで、どちらも曲を自分のものにすれば解決します。
申し立てゼロに本当に必要なこと
条件は3つで、見落とされがちなのは3つ目です。
- 曲がContent IDに登録されていない。 生成した曲は、レーベルにもライブラリにも登録されたことがありません。ほかに持っている人がいないので、誰も申し立てられません。
- 登録されている何かを再現していない。 アーティストや曲の名前を出したプロンプトは、モデルを登録済みのレコードへ引き寄せます。代わりに音を描写すれば(
80s synthpop, gated drums, big chorus)、出力は新しいものになります。この習慣の例はプロンプトのガイドに30個あります。 - 自分に対して登録しない。 Content IDをオンにした配信代行から同じ曲をリリースすると、自分のチャンネルが自分のリリースに申し立てられることがあります。BGMは配信に出さないか、先に配信代行で自分のチャンネルを許可リストに入れておきましょう。
3つすべてを満たせば、その音楽への申し立ては0件になります。それが「申し立てを受けないロイヤリティフリーの曲」の正直な意味です。
どの動画にどんな曲か
| 動画の種類 | 音楽の役割 | 曲の種類 |
|---|---|---|
| 顔出しトーク、解説、レビュー | 注意を引かずに10〜20分、声の下にいる | インストのBGM、ダイナミクス控えめ、リードメロディなし |
| チュートリアル、画面収録 | 無音を埋め、区切りを示す | インストのBGM、軽く一定 |
| Vlog、1日の様子 | 雰囲気を作り、モンタージュを運び、話し声の下に引く | ゆるやかに盛り上がるインスト。モンタージュだけボーカルのフック |
| ゲーム実況、解説 | ゲームの音と競わずにエネルギーを出す | 推進力のあるインスト、中くらいのテンポ |
| シネマティックなBロール、旅 | シーンの感情そのものになる | 起承転結のはっきりしたインスト |
| イントロ/アウトロのジングル | 5秒で覚えてもらう | ボーカルのフックかシグネチャーのリフを、カバーで変種に |
| 歌詞動画、ビジュアライザー、音楽チャンネル | コンテンツそのものになる | フルの曲をミュージックビデオ生成ツールで動画に |
パターンは、YouTubeのほとんどすべてがインストを求めていて、声の下に決して置きたくないのがリードボーカルだということです。
作り方
ステップ1 BGMを説明する
作成ページを開いてシンプルモードのまま、説明欄の上のボーカル/インストゥルメンタルのスイッチをインストにします。BGMをジャンル、雰囲気、楽器、テンポで描き、入れないものも書きます。とても静かな顔出しトーク向けならno lead melody、no drumsです。スイッチが入っていれば書く歌詞はなく、モデルはアレンジだけを作ります。

ステップ2 2つのテイクを生成する
10クレジットで2バージョン、1〜2分です。実際に使う音量、つまり自分の声の下で小さく流して聴きましょう。大きな音で良く聞こえるBGMは、小さくするとにぎやかすぎることがよくあります。落ち着いたほうのテイクを残します。
ステップ3 十分な長さにする
生成した曲は数分、動画はしばしば10分や20分です。ループさせる(継ぎ目が聞こえ、音量がまったく変わらない)のではなく、フレーズが終わる直前の最後の小節から曲を延長しましょう。延長のたびに同じアレンジが続くので、2分のBGMが3回で8分になります。1回10クレジットで、毎回2テイクが返ってくるので、より滑らかなつなぎを選べます。どこで切るかは延長のガイドにあります。
顔出しトークのチャンネルなら、雰囲気ごと(落ち着いた、明るい、緊張感のある)に長いBGMを1つずつ作って使い回しましょう。3〜4つのBGMで1年分の投稿がまかなえ、その繰り返しがチャンネルの音の一部になります。
ステップ4 書き出してミックスする
曲をダウンロードし(Standardプラン以上でWAV、どこでもMP3)、編集ソフトに入れて声の下にミックスします。数値は次の節にあります。ライセンス証明書は音声ファイルの隣に保存しておきましょう。
ステップ5 音楽チャンネルだけ:動画にする
音楽そのものが動画なら、ミュージックビデオ生成ツールが完成したどの曲も、音楽に合った映像のMP4にします。10クレジット、たいてい2〜5分で、表紙に任意の作者名、下部に透かしを入れられ、14日間ダウンロードできます。歌詞やビジュアライザーのチャンネルなら、これで制作の流れは完結します。ただし本物でないコンテンツのルールがある以上、チャンネルにはただのフィードではなく、視点が必要です。
YouTubeのフォーマット別プロンプトレシピ8つ
特記がない限りすべてインストです。シンプルモードでインストゥルメンタルのスイッチを入れ、説明を貼って生成します。
| フォーマット | スタイルのプロンプト |
|---|---|
| 顔出しトーク/解説 | ambient, calm, soft piano, warm pads, no drums, no lead melody, 70 BPM |
| チュートリアル/画面収録 | lo-fi hip hop, calm, warm Rhodes, soft brushed drums, vinyl crackle, no melody lead, 80 BPM |
| Vlog | indie folk, bright, acoustic guitar, light shaker, hopeful, 105 BPM |
| ゲーム実況/解説 | synthwave, driving, arpeggiated synths, punchy drums, 120 BPM |
| シネマティックなBロール/旅 | cinematic, emotional, strings, slow build, piano motif, big swell at the end, 75 BPM |
| 料理/ものづくり | bossa nova, warm, nylon guitar, brushed drums, playful, 95 BPM |
| 勉強用/アンビエント配信 | ambient, weightless, soft synth pads, rain texture, no drums, no melody, 60 BPM |
| イントロのジングル(ボーカル) | カスタムモード(スタイル+歌詞欄):pop punk, energetic, power chords, gang vocals, 160 BPMに、チャンネル名を入れた2行のフック |
ジングルは、フックを単独の[Chorus]として書き、ほかには何も書きません(それで短くパンチのあるテイクが確実に得られる理由はタグのガイドで説明しています)。そのあと5秒に切りましょう。
声の下にミックスする
トーク中心のコンテンツの多くで通用する数値です。
- 声のピークは**-6 dB前後、音楽はその18〜22 dB下**。ヘッドホンでは小さすぎると感じるくらいです。
- 編集ソフトのダッキング(声があるときに自動で下げる)を使い、BGMが間では上がり、話し声の下では下がるようにします。
- BGMの低域を切る(120 Hzあたりのハイパス)。ベースやキックと同じ帯域にある声を濁らせないためです。
- 区切りでは音楽を呼吸させる。 章の合間の2秒の盛り上がりは、一定の音量よりずっと効きます。
- 長い動画では、半ばでBGMを変える。同じ雰囲気の別の曲に。視聴者は理由に気づかないまま、新鮮さを感じます。
収益化チャンネルのライセンス
収益化したチャンネルは商用利用です。Suno AI Musicで生成した曲はどれも著作権フリーで、Standardプラン以上(と大きめのクレジットパック)なら、広告、スポンサー、収益化した動画向けに、ロイヤリティも表記も不要で、ダウンロードできる証明書付きの商用ライセンスが付きます。その曲の延長、カバー、ステムも、そこから作った動画も、同じライセンスのもとにあります。無料プランとStarterプランは個人利用向けで、収益化をオフにした趣味のチャンネルならかまいませんが、収益を得るチャンネルには足りません。プランは料金ページにあります。
証明書は保管しておきましょう。万一申し立てが来ても(誤検出や、似たものを登録したライブラリ)、異議申し立てはPDFを添えた1行の返信で済み、申し立ては取り下げられます。
よくある質問
YouTubeでAIが生成した音楽を使えますか?
使えます。YouTubeはAI音楽を認めていて、それを使うチャンネルも収益化できます。ほかの人と同じポリシー、特に本物でないコンテンツ、広告主向けのガイドライン、Content IDに従う必要があります。
AIのBGMに「改変または合成されたコンテンツ」のラベルを付ける必要はありますか?
ありません。開示は、視聴者が本物と誤解しうるリアルな合成コンテンツのためのものです。自分の動画の下に敷く生成したインストはそれにあたりません。映像がリアルで合成されたものである場合や、声が実在の人物を模倣している場合には必要です。
AIの曲がContent IDの申し立てを受けることはありますか?
オリジナルなら受けません。生成した曲は誰にも登録されていないからです。申し立ての原因は、実在のレコードを再現するプロンプトか、自分の曲を配信代行に登録したうえで許可リストに入れずに自分のチャンネルで使うことです。
10分のBGMを作るには?
2〜3分のBGMを生成し、延長ツールで段階的に延ばします。毎回フレーズの終わりで切りましょう。3回で、ループの継ぎ目なしに8〜10分に届きます。
1つの曲をすべての動画に使えますか?
使えます。顔出しトークのチャンネルなら、その一貫性はむしろ強みです。雰囲気の違うBGMをいくつか作って、ローテーションしましょう。
収益化チャンネルにはどのライセンスが必要ですか?
商用ライセンスです。Suno AI MusicならStandardプラン以上で、異議申し立てに備えてダウンロードして保管できる証明書が付きます。
まとめ
あなたが作るまで存在しなかった曲は、誰にも申し立てられません。BGMを説明し、2つのテイクを生成し、長さまで延長し、声より20 dB下にミックスし、証明書を保管する。作成ページで始めましょう。最初の生成は無料で、そのチャンネルの申し立ての問題はそこで終わります。
